2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

電車

朝焼けが涼んだ空気を温めだす頃電車は動き出す。まっすぐなレールを駆け抜ける電車に揺られる人々の顔は様々大きな荷物を持った若者黒い鞄を持った壮年2人で手をつないで帰るカップル皆がどこかに向かってる電車はただ彼らを運ぶ

乱文小説①

息を潜め、彼の赤に染まり変わりゆく姿を僕は見るしかなかった。自分の口に自分で手を当て何度もこぼれそうになる小さな悲鳴を、抑えるしかなかった。彼はいつかこうなると言っていた。小さな約束を破りすぎたと。僕と彼はこの小汚い街で小さな大きさで薬を…

雲を追う

遠い空遠い雲風がなびけば草は流れ日が差せば影が立つ夢追いしこの手に太陽は遠く自分の影には手届かず雲は傍まで行けば雲に触れられる雲に近づけど触れられる雲は雲じゃない息をすれば風になびき遠くへ行く自分の知っている形を崩し風になびくその時雲は雲…

動き出す。

日が上がる前に、スズムシが寝る前に血液は流れ出す。張り巡らされた血管に血が流れ出す。脈打つ鼓動をうちだす。コンクリートで覆われた皮膚に、ドクンドクンと響きが聞こえだす。動き出した。静かに動き出した。ここは東京、朝日が昇る前に、コオロギが寝…

ふと、

彼女に彼氏ができたみたい、今まで後影を掴もうとわっさわっさしていたけど、何してんだかと思いながら見ていた。そんな彼女にぼくは惹かれてた、気が利き、明るく、そして何より良く喋って、笑ってくれた。そして3回目会った時、そのまま彼女を掴みたいと思…

足音

足音が聞こえる。上の階からだ、パタパタと軽く続く音がする。子供が遊んでるのだろう、そう思いながら休日出勤のぼくは、終わりの仕事に就いていた。しばらくここには来ないので、引き継ぎのメールとメモを数枚書いていた。どこかでドアが閉まる音がする。…

ジーンズを愛するぼく

インディゴに触れば指先は藍に染まり水を通せば藍は溶け出し履けば藍は落ちていく濃いインディゴに恋し買ったジーンズは、いつの間にか青になり、洗濯を繰り返せば、青白と色を変えていく濃いインディゴがすきな彼は、濃いインディゴに恋をし続け同じような…

人間が死ぬ直前に見せる目の輝きは、ただ眼圧に耐え切れず。瞼からあふれんばかりの目になることがある。脳腫瘍で亡くなった叔父は、腫れ上がった脳に押し出されんばかりに、目をギョロリとし、定まらない焦点で空を喘ぎ、もがく手でぼくの手を握った。肥え…

あちら側とこちら側

コンビニ人間をパトロンから貰った。「あんたはこちら側やからこれ読んでみ」と押し付けられたに等しいが、耳に目に入っていた本を貰えたので悪い気持ちわなかった。今日の帰りに喫茶店で流し読みをしようと思ったが、流し読みができない内容だった。ただ一…

静かにペンを持ち

静かにペンを持ち紙の上を滑らせても滑らせる一次元の線は線でしかない、でも、誰しもがそこから意味を現実を数字を結果を未来を過去を描き出し、自分に誰かに伝える。文字の塊は文章となり集まれば多くの事を伝える。ここにぼくが書き出したのもその多くの…