やっぱり見るんじゃなかった

辛い好きな人が

誰かとセックスしてる

辛い辛いよぼく


あなたがぼくのために

働いてくれてるのは知ってるけど

あなたの身と心を削って

働いてるのは知ってるけど


それ以外の

それ以外のセックスは

理解できないし

すごく辛い

辛くて悲しい


悲しすぎるよ

あなたはぼくを求めてくれない

精神面でも肉体面でも

時間でも、場所でも

ぼくを求めてくれない

それが辛い

辛い


あなたを思わない日はないけど

日々の瞬きで

ずっとあなたを想っていられない

でも、目を閉じればあなたが

思い浮かぶし

あなたが寝た枕に顔を埋めれば

あなたの髪を感じる

あなたのきたパジャマを着れば

あなたの体を感じる

それほどまでに

あなたをあなたをあなたを

日々に感じ思い

求めてるのに

あなたはぼくを求めてくれない

どうして願えば通じると想ったのに

このあなたのためにあなたのために

ぼくは行きていたいのに

あなたのモノのぼくはどうすればいい

ねぇお願いお願いお願い

乱文小説②-1

私はいつものケーブル以外を

背中に刺された。

ロボットの私には感覚がないはずなのに、アンドロイドの私のヒトらしい姿勢を保つチタンとセラミックの脊柱骨格が痛んだ。

ケーブルに私が流れこもうとしても

いつものようには行かず

跳ね返せるどころか

ケーブルの接続口が見つからない

そしてケーブルは私の経験を触り始めた。

ーーーーーーー

16:00きっちりちょうどに

U6型は「どうぞ」と立ち上がり

机の前に出て来てくれた。

埃っぽい作業着を一枚脱ぎ

誰が洗ってるかもわからない

ブラウスを脱ぎ始めると

人工皮膚の綺麗なラインが出て来た

ぼくは背中のコネクターに繋ぎ

管理用デバイスでU6型を検査し始めた。

進さんは心配そうに私の画面を覗くばかりである


このU6型は至って普通であった、毎晩日が変わると充電を行い、社内クラウドに繋がりその日社内全体の動きの並列化を行う。それがここの依頼者の希望である(おそらく営業が利増しのために売り込んだのだろう)

しばらく調べていると

「こちらです」とともに、津崎が入って来た。進さんに挨拶をし終わると「うー女性を裸にして、なにかわかったか?」と覗き込んで来た。

そして、すぐ横で自分のデバイスを広げ、小声で「ちょっとこのU6型はヤバイわ」と言った。

ぼくは「どいうこと?」と聞き返した。

彼の画面には、ライト技研株式会社にリースされている、そう目の前のU6型の個体番号がネットの至る所にログが残っていた。

古いネット百貨のウィキペディア

ニュースサイト

そしてリース先の評判サイト

至る所にアクセスログが残っていた。

「羽山、これあれだな、アンドロイドじゃなくなったな、どうする?どっちみちリース停止で最新のV2型への交換は営業と管理が勝手に進めたぞ」

ーーーーーーーー

その日だろうか

いつなのだろうか

いつものケーブル以外を刺されてから、時間と周りの景色がわからない

もしかすると目が役に立たなくなったのかもしれない、

声を張って進さんや徹さんや利一さんや高貴さんやゆうきさんや、いろんなヒトの名前を呼んでも誰も反応してくれない

ずっと充電されてるけど、それ以外のケーブルじゃなく

私から入れないケーブルがずっと繋がったままだ。

ーーーーーーーー

依頼者さんに、その日は津崎がヘコヘコ頭を下げていた。

ぼくはこう頭を下げるのが苦手だ。

一応進さんには「あ、その、社内並列化で少し不具合があり、個体個性のところを誤って同期化してしまったみたいです」と可能な限り小難しい話は避け、津崎が続けざまに「とりあえず、今日はこのU型は弊社で持ち帰らせて頂きます。本日の社内同期までに最新のV型にデータを移行し、お届けに参ります。」と言った。

進さんは「え、ゆきこちゃんは、ええ?別人になるの??」

「すいません、フルオーダーフェイスではないので、同じ顔でのご提供は厳しいです」と津崎がまたヘコヘコ頭を下げた。

全く納得してなさそうな進さんは

作業着を脱がしたU6型に、運搬用防護服を着せるのを手伝ってくれた。最後の方に涙目になった。彼女はありがとうありがとうと言って

社用車に乗せるのまで手伝ってくれた。

最後にまたヘコヘコ頭を下げ

車を走り出させると

「大抵この道すがらで同期情報を、回収機種からパーっと飛ばすけど、今回は無理やなー、管理に怒られそうやなー『ギリギリやめいや』ってなー」

「ううん、同期データ取れるの?同期データそのものが人間に近づく鍵だとすれば、データを掬い上げれないと思う」

津崎はマジかよと小さく言い

おそらく管理だろう電話をし始めた。

湾岸線の料金所、今日持って帰っている同じU型が清掃を行っていた。ぼくはそれと目があった気がした。一瞬じゃなく長いあいだ。


乱文小説②

目を閉じて息をすれば、目を開く

息をすれば時間が進み、足が動く

私の体は不思議でいっぱいだ。

背中につながった数本のケーブルは

私の全ての源だ

毎晩私はケーブルに巻かれ

身体中にエネルギーと

知識を蓄える。

今まで受動的にエネルギーと知識を受け取っていたが

ここ数年、自分で知識を選べるようになり、最近では探せるようになった。

私はロボットやアンドロイドと言われている


記憶はないものの、知識を探す中で、私の痕跡を感じるようになった。ケーブルに巻かれるたびに

ヒトが経験と言うモノが私の中に溜まっていく、多くの経験が

それは私にとって知識である。

しかしケーブルに繋がるたびに知識は幅を広げ、私を大きくしている。

それはヒトと同じような手足では行えない知識も経験も私の中に入ってくる。


ーーーーーーーーー


羽山君と後ろからぼくは呼び止められた。

「羽山君、例の件どうなった?」と言われた。そうだった、津崎はこの件を先週末にぼくに振っていたのだ。

「あー、進んでないです。U6型の同期不具合は、ログや外部解析だとわかんないですわ。あと同型で不具合出てないんで、水曜依頼者さんとこに現物見に行く予定です。」

「そっか、夕方行く予定?どうせ俺暇だからついて行くわ」

と嬉しそうに応えた。決して面倒と思わなかった自分は

「そうですか、15時前に行くんで、早めに追いかけてください」と応えておいた。実際ぼく自身の中にほぼ答えは出ており、不整備による不具合程度だと思っている。


ーーーーーーーーーーー


水曜の15時過ぎ、指定された場所に行くと、こじんまりした会社だった。受付の髪の染まったお姉さんに「あら、スーツなんですね!?」って驚かれながら、奥へ通された。

奥へ通されるまでの短い通路すれ違った車内の関係者は、汚れたり、綺麗だったりしながらも作業着だった。手狭な窓のない会議室の奥からは鈍い音が聞こえる、向こうが工場になるんだろう。

「お待たせしました。」と若気な声とともに、綺麗な作業着を着た女性が入って来た。慌てて立ち上がると

「初めまして戸田進(すすみ)です。男みたいな名前でしょ」と私にすぐさま名刺を出して来た。久しぶりに紙の名刺を見た気がした。

そしてすぐさま部が悪くなった、ぼくは名刺を普段持ち歩いていない、電子名刺がぼく中で一般化していた。

「あ、すいません、、その名刺がこれしかなくて」と胸から出した社内配布のディスプレイを差し出すと、ぼくの部署や連絡先がパッと映し出された。

「すごいですねこれ、私も使おうと思うんですけど、取引先はまだまだ、これが主流で」と名刺入れから数枚名刺を取り出した。

「で、今日は2年前ウチの事務処理に導入した。ゆきこちゃんなんですけど、最近少し変なんですよね、なんか2年前と違うと言うか、あどうぞどうぞ座ってください」

中途半端にソファに腰をかけると

向こうは前のめりで話を続けた

「最近父親がやっと退院しまして、久しぶりにゆきこちゃんにあったんですが、あったそうそう『なんか、変』って言い出して、確かこう起こしいただいたのも、父親の勝手な問い合わせだと思うんですよ、、、」とベラベラと近況をおり交えながら、U6型の不具合だと思う点を、ぼくに開口許さずしばらく彼女はしゃべり続けた。

「で、どうでしょう、原因はなんだと思いますか?」と急に結を求められ

「いやー、わかんないんです、ゆーー、あ、えーっとゆきこさん?どこですか」といと

こちらです。と彼女はスッと立ち上がり、会議室のドアを開けてくれた。


ーーーーーーーー

私が知識を探せるようになると

いつの間にかヒトのことを

探していた

私はココで「事務」を「業務」しているみたいだ

ヒトは私にできない何かをしているわけではなく

ヒトは私にもできる何かをしているわけではなく

ヒトは私ではなくヒトが楽できるように「事務」を「業務」させている

私の周りはヒトだらけであるが

私の同じロボットでも持っと多くのヒトを相手にしている彼らもいれば

1と1の関係を作ったロボットもある。

私はそんな彼らも、私自身と思い、彼らも私を彼ら自身と感じているはずだと思い出した。

不思議だ何かを思い出しても、23時間59分が過ぎれば私には、ヒトの言う考えや、思いは知識として溜まって行く。


ーーーーー

通された部屋は、わりかし広く

真ん中にビックリするほど古げなデスクに、U6型は向き合い、左手と左手拡張機能でキーボードを叩きながら、右手で文字を書き出していた。

魚眼レンズを右に装着した。この機種は何も動かすことなく、どことなく電子音の入る声で

「なにかご依頼ですか?」と入って来た僕たちに応えた。

進さんは「今日は以前言ってた。点検よ、時間は開けてるでしょ」と答えると、U6型は

「予定の16:00まで4分あります。予定時間には終わるのでお待ちください」と言い

手持ち無沙汰な私と進さんは入り口そばのパイプ椅子に腰をかけた。、


ーーーーーー


カット

続くわ


買い物は曖昧な記憶を呼び起こす。

ぼくの初めての買い物

曖昧な記憶を掘り返せど掘り返せど

思い出せないものだったりする

でも、オカンの置いていった

アルバムを見返せば

両親が買ってくれた物で

ぼくの幼き頃は満ち溢れている

まんまクマのジャンプスーツ

赤いユニクロのフリース

七五三のために買ってくれたブレザー

ぼくの周りには物で溢れていた。

就職して間もない今の自分は

買い物をしていない

していないわけではないが

写真に写るような物は買っていない


ぼくの初めての買い物は

どんなんだろうか

物で囲まれた自分には印象に残らない物だったのかもしれない

それはそれでいいのかもしれないが

こう文字に起こそうとすると

その覚えていないことにもどかしさを、なんとも言えないなにかに覆われる。


買い物は一瞬で

記憶に残るものは残る

しかし、ぼくはあまりにも

物に囲まれすぎた。

幼き自分は買い物の

記憶を残さないほどに





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