足音

足音が聞こえる。上の階からだ、パタパタと軽く続く音がする。子供が遊んでるのだろう、そう思いながら休日出勤のぼくは、終わりの仕事に就いていた。しばらくここには来ないので、引き継ぎのメールとメモを数枚書いていた。どこかでドアが閉まる音がする。バタン!ではなく小さな音がした。だれ?!とぼくは身を椅子から身を離し音がする方に向かった。しかしそこは薄光の避難案内が光り、緑色にそこを染めているだけでだれもいなかった。締め切れていなかったのかと鍵をかけ、席にトボトボと戻ると、メールの返信だろうか上長から電話がかかってき、「お疲れ様でーす」と疲れを隠すように陽気に電話に出た。相変わらず軽いなーと一言入り、今日の結果と連絡を伝え、その後「なんか変わったことは?」と聞かれた。ぼくは「上の階はなんか、飲食店でも入ってるんですか?足音がさっきからよく聞こえるんですよねー」とすると、ゲラゲラ笑いながら「うんなわけねーじゃん、それ幽霊だな」と、ぼくは耳を疑った「たまにトイレの電気勝手につくし、流れるからマジでヤバいで」ぼくは足音が近くに聞こえる気がした。