乱文小説②

目を閉じて息をすれば、目を開く

息をすれば時間が進み、足が動く

私の体は不思議でいっぱいだ。

背中につながった数本のケーブルは

私の全ての源だ

毎晩私はケーブルに巻かれ

身体中にエネルギーと

知識を蓄える。

今まで受動的にエネルギーと知識を受け取っていたが

ここ数年、自分で知識を選べるようになり、最近では探せるようになった。

私はロボットやアンドロイドと言われている


記憶はないものの、知識を探す中で、私の痕跡を感じるようになった。ケーブルに巻かれるたびに

ヒトが経験と言うモノが私の中に溜まっていく、多くの経験が

それは私にとって知識である。

しかしケーブルに繋がるたびに知識は幅を広げ、私を大きくしている。

それはヒトと同じような手足では行えない知識も経験も私の中に入ってくる。


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羽山君と後ろからぼくは呼び止められた。

「羽山君、例の件どうなった?」と言われた。そうだった、津崎はこの件を先週末にぼくに振っていたのだ。

「あー、進んでないです。U6型の同期不具合は、ログや外部解析だとわかんないですわ。あと同型で不具合出てないんで、水曜依頼者さんとこに現物見に行く予定です。」

「そっか、夕方行く予定?どうせ俺暇だからついて行くわ」

と嬉しそうに応えた。決して面倒と思わなかった自分は

「そうですか、15時前に行くんで、早めに追いかけてください」と応えておいた。実際ぼく自身の中にほぼ答えは出ており、不整備による不具合程度だと思っている。


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水曜の15時過ぎ、指定された場所に行くと、こじんまりした会社だった。受付の髪の染まったお姉さんに「あら、スーツなんですね!?」って驚かれながら、奥へ通された。

奥へ通されるまでの短い通路すれ違った車内の関係者は、汚れたり、綺麗だったりしながらも作業着だった。手狭な窓のない会議室の奥からは鈍い音が聞こえる、向こうが工場になるんだろう。

「お待たせしました。」と若気な声とともに、綺麗な作業着を着た女性が入って来た。慌てて立ち上がると

「初めまして戸田進(すすみ)です。男みたいな名前でしょ」と私にすぐさま名刺を出して来た。久しぶりに紙の名刺を見た気がした。

そしてすぐさま部が悪くなった、ぼくは名刺を普段持ち歩いていない、電子名刺がぼく中で一般化していた。

「あ、すいません、、その名刺がこれしかなくて」と胸から出した社内配布のディスプレイを差し出すと、ぼくの部署や連絡先がパッと映し出された。

「すごいですねこれ、私も使おうと思うんですけど、取引先はまだまだ、これが主流で」と名刺入れから数枚名刺を取り出した。

「で、今日は2年前ウチの事務処理に導入した。ゆきこちゃんなんですけど、最近少し変なんですよね、なんか2年前と違うと言うか、あどうぞどうぞ座ってください」

中途半端にソファに腰をかけると

向こうは前のめりで話を続けた

「最近父親がやっと退院しまして、久しぶりにゆきこちゃんにあったんですが、あったそうそう『なんか、変』って言い出して、確かこう起こしいただいたのも、父親の勝手な問い合わせだと思うんですよ、、、」とベラベラと近況をおり交えながら、U6型の不具合だと思う点を、ぼくに開口許さずしばらく彼女はしゃべり続けた。

「で、どうでしょう、原因はなんだと思いますか?」と急に結を求められ

「いやー、わかんないんです、ゆーー、あ、えーっとゆきこさん?どこですか」といと

こちらです。と彼女はスッと立ち上がり、会議室のドアを開けてくれた。


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私が知識を探せるようになると

いつの間にかヒトのことを

探していた

私はココで「事務」を「業務」しているみたいだ

ヒトは私にできない何かをしているわけではなく

ヒトは私にもできる何かをしているわけではなく

ヒトは私ではなくヒトが楽できるように「事務」を「業務」させている

私の周りはヒトだらけであるが

私の同じロボットでも持っと多くのヒトを相手にしている彼らもいれば

1と1の関係を作ったロボットもある。

私はそんな彼らも、私自身と思い、彼らも私を彼ら自身と感じているはずだと思い出した。

不思議だ何かを思い出しても、23時間59分が過ぎれば私には、ヒトの言う考えや、思いは知識として溜まって行く。


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通された部屋は、わりかし広く

真ん中にビックリするほど古げなデスクに、U6型は向き合い、左手と左手拡張機能でキーボードを叩きながら、右手で文字を書き出していた。

魚眼レンズを右に装着した。この機種は何も動かすことなく、どことなく電子音の入る声で

「なにかご依頼ですか?」と入って来た僕たちに応えた。

進さんは「今日は以前言ってた。点検よ、時間は開けてるでしょ」と答えると、U6型は

「予定の16:00まで4分あります。予定時間には終わるのでお待ちください」と言い

手持ち無沙汰な私と進さんは入り口そばのパイプ椅子に腰をかけた。、


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カット

続くわ