宗教とビール

ぼくは宗教の都合で

ビールはハイネケンかオリオンと

相場は決まっている。


相場は決まっているってあたりが

怪しい宗教であって

別にハイネケン以外飲んでも

厳罰が降るわけでもない


でも最近改宗をした

最近我が家の冷蔵庫には

アサヒスタイルフリーが常駐している

いつでも飲んで、飲んでよ

って開けるたびに訴える


休みの朝はアサヒを飲みだしてる

いや、もうアル中なんかな

依存しやすいぼくは

最近誰かより

酒にタバコにって依存してる


うん、よくないけど

あんま構ってくれないし

缶に煙はぼくを包んでくれるけど

やっぱ1人は嫌や


うううううう

グルングルン目が回る

先日愛してやまない

尻に引いた座布団さんに

ビールをこぼしてしまいました。


家の洗濯機さんで洗ってみたんですが、脱水ができなくて

水も滴るいい女なのは間違いないんですが、そのままここんとこの雲模様の下で乾かそうと思いましたら、


まあ!カビみたいなのが

洗ったのに生え出し

大好きな彼女を急いでコインランドリーに連れ込みました。


正直コインランドリーでのプレイは初めてで、おどおどした感じで

洗剤と硬貨を入れて

彼女と扉越しの短くて長い時間を過ごしました。


彼女は38分間もみに揉まれ

あれよあれよと言う間に

黒ずみもくすみもなくなっていました。

そしてその水の綺麗に切れた彼女を乾燥機に押し込み

ぼくはガラス越しに彼女が舞う姿を眺めました。

水の滴るいい女だった彼女は、ほっそりとして、今思えば少しぼくとの関係にやつれていたのかもしれません、でも乾燥機の中を舞う彼女は

ミルミルとムチムチしていき

最後にはぼくの求める

フワフワの座布団さんになりました

持って行ったビニール袋に入れず

ぼくは彼女を抱えすきすき言いながら、家に帰りました。


おかえりなさい

歩く歩く

本州最東端目指し

明け方ぼくは身支度を整えた


お気に入りの

シャツに

ジーンズに

ブーツを履いて

持ち物もいつもと同じ

腕時計に

ブレスレット

財布に

タバコを持って


始発の次の電車を目指して

扉を出た。


昨日まで降り続いた雨で

湿り気のある

肌寒い駅までの道

少し急いで歩いた

体はすぐにあったまってきた。


最寄りのJR駅に着くと

発車まで時間はそうなかった

ICカードをかざし

ぼくは電車に吸い込まれた。


電車の中は朝帰りの夜の蝶

明け方まで語り明かした赤い顔

黒く不健康そうなサラリーマン

元気いっぱいのガテン系

日曜の明け方の電車は

一つの人間図鑑

靴を見ればなおさらよくわかる

綺麗に磨かれた靴をはくおじいさん

真新しい靴に傷をつけた若い彼

折れそうなヒールの彼女

そうしているうちに電車は

東京駅にとまった。


地下へ地下へとぼくは歩いた

地下へ地下へ行けば行くほど

人は減る、でも人はいる

地下へ地下へみなどこかを目指し歩いてる

電車はそんな人たちを飲み込み

人間をどこかへ吐き出しに行く

ぼくも飲み込まれどこかに吐き出されに行く


いつの間にかに電車は

決して混むことなく千葉で

ぼくを吐き出した

それからぼくは流れるように

次の電車に食べられた。

それからぼくは寝てしまった。

目が覚めればそこは田舎

田舎にきていた。銚子は

そう思わせる、どこかなつかしく

どこか初めてな気分


銚子から外川へ

その電車は過去を

過去に鞭を打って動かす

動かされている老婆のようだった。

扉が動くたびに軋む音

スレ落ちる鉄くず

左右に強く売れる車体

粉っぽい匂い

老いた老体はぼくを静かに

最後まで連れってくれた


その駅は外川

本州最東端


ぼくはその足で長崎灯台を目指した

犬吠灯台じゃなく長崎灯台

道行くとこどころが

潮で朽ちている

ガードレールに街頭

そしてそれに抗う綺麗な自販機


防潮堤の重い鉄の扉の隙間を抜けて

道らしい道のない道を歩き

長崎灯台の足元へ

潮で洗われた石が

足元に無数に転がり

ぼくを歓迎しながらも

邪魔をする

曇り空に差し込む薄い光線

風に煽られ高く伸びる白波

そして大きくぼくを迎えてくれた

太平洋


ぼくはここに来たかった

ただただこれを見たかった。

この感動を胸にしまい

きた道を帰る帰る


大好きなあなたへ

大好きなあなたへ

こんばんはかな

おはようかな

こんにちはかな

いつこれを見てくれるでしょう


大好きなあなた

ぼくはあなたが大好きです。

静かにぼくの顔や

タバコを吸ってる時や

お酒を飲んでる時や

一緒に寝ている時

見てくれて

どこでもギュって手を握ってくれる

すごくすごく嬉しいです


あああ、あなたへの気持ちは

こうなのにこうなのに

どうして会えないのでしょう

ぼくの心が裂けそうで消えてしまいそうな時あなたを思えば頑張れそうなのに

今のぼくは頑張れないみたいです。あなたのことを思っても、瞼の裏に移しても、夢の中で思っても思っても全然元気が出ない


ごめんなさい

大好きなあなた

ずっと大好きなぼくは

あまりに弱く

今じゃ消えちゃいそうです

お願い、お願い側に来て

お願い


あああうまく言えないし

涙で書けない



電車

朝焼けが涼んだ空気を

温めだす頃

電車は動き出す。

まっすぐなレールを駆け抜ける

電車に揺られる

人々の顔は様々

大きな荷物を持った若者

黒い鞄を持った壮年

2人で手をつないで帰るカップル

皆がどこかに向かってる

電車はただ彼らを運ぶ